2021.7.22葬儀後、自宅に設置する「後飾り」とは?
葬儀を終えた後、納骨を行う四十九日まで「後飾り」を、ご自宅に設けて供養をします。
目次
「後飾り」の飾り方
後飾りは、火葬場からご自宅に戻られたご遺骨を、一般的に納骨・忌明けとされる四十九日まで安置する祭壇です。火葬場からご自宅に戻られてすぐに設置していただくか、火葬に立ち会わないご遺族がいらっしゃれば、ご遺骨が戻ってくるまで設置していただく方法もあります。
2段あるいは3段から成る後飾りは、3段タイプで高さ63cm x 幅81cm x 奥行き70cmほどで、それぞれの段に飾るものが決まっています。
上段:ご遺骨、遺影写真、白木位牌
中段:香炉、燭台、線香入れ、りん
下段/床:供物、花
このほか、宗派宗旨によっては後飾りの前に、ご本尊を飾る場合もあります。
大の葬祭では、全ての葬儀プランの中にご自宅へお持ち帰りいただける後飾りの祭壇をご用意しています。祭壇は強度のある紙製で、白い布をかけて使えるもの。丈夫なうえに運搬・移動のご負担がないよう配慮したものです。
「後飾り」を飾る場所
飾る場所は、仏間の仏壇の前が一般的で、部屋の北側か西側が良いとされています。
ただし、「仏間がない」「まだ仏壇を購入していない」など、それぞれの住まいやご家庭に事情があると思います。その場合、居間・リビングに飾っても問題ありませんし、無理に方角を合わせることもありませんが、人の出入りが頻繁な動線上や、日常生活の妨げになる位置を避けていただき、供養しやすい場所を選んで設置すると良いでしょう。
「後飾り」での供養の仕方
後飾りは毎日手を合わせていただくもの。葬儀に来られなかった方がお参りに来ることもありますし、初七日に始まる法事をご自宅でする場合はこの祭壇の前で行うことになります。
基本的には、皆が「お参りしやすい場所」を考え、粗末に扱わないように配慮すれば、自然に置く場所も決まってくるのではないでしょうか。場所が決まったら、故人の好物だったものやお花を供え、毎日ろうそくを灯し、線香を焚いて供養します。
なお、仏壇の前に飾る場合「仏壇の扉を開けておくのか閉めておくのか」「特別に飾るものはないか」など、宗派によっての違いもありますので、詳しいことはお寺にご相談ください。
また、神棚の下は極力避けるようにしてください。
神式の場合
神式の祭壇は〈仮霊舎(かりみたまや)〉と呼ばれます。
仏式と同じように
上段:ご遺骨と遺影写真
中段:霊璽と榊
下段:徳利、水玉、皿の三方と玉串と火立を置き、洗米、水、酒、塩、榊、燈明をお供えします。
キリスト教式の場合
キリスト教式の後飾りには特に決まりはありません。思い思いに飾ってさしあげてください。
「後飾り」の処分方法
後飾りは四十九日の法事を済ませた後、解体し、その後は仏壇での供養を行います。
必要のなくなった後飾りは、お住まいの自治体の回収ルールに従ってゴミに出すことができますが、「供養に使ったものを粗末にしたくない」「仏事のゴミを出すのは周囲に気が引ける」などの理由から、処分に悩む方も少なくありません。
後飾りをゴミに出すことに抵抗がある場合、多くの葬儀社では回収を行っています。大の葬祭も、ご都合の良い時にご自宅まで回収に伺い、弊社で祭壇を供養させていただきます。
また、多くの方がお参りに来られる初盆の際、遺影写真やお供え物を置く台として後飾りを再利用されるのも便利です。大の葬祭がご用意する後飾りは紙製で、コンパクトに畳んで保存が可能ですので、よろしければ初盆のご供養にもお役立てください。
「後飾り」でよくあるご質問
Q. 後飾りの祭壇は、家にあるもので自作しても良いですか?
A. はい、大丈夫です。
座ってお参りできる高さがあり、ご遺骨、遺影写真、位牌、三具足(香炉、燭台、花立)、お供え物が置けるサイズのものを木や紙などで作るか、すでにご自宅に代わりになるような台があればそれを使用しても良いと思います。
後飾りは、四十九日までの間、故人の御霊を安置する大切な場所です。特に「自作したい」という思いがあるのであれば、故人もお喜びになるでしょう。
葬儀社が提供している後飾りは利便性が高く、処分まで承ることができます。大の葬祭でもすべての葬儀プランにお持ち帰りいただける祭壇を含め、ご提供しております。
Q. 自宅にまだ仏壇がありません。その場合、後飾りはどこに設置すれば良いですか?
A. 仏壇を置く予定の場所や座敷の床の間の横などに、部屋の北側か西側に設置し、ご遺骨の状態が悪くならないよう直射日光があたる場所や湿気の多い場所を避けると良いと言われています。
近年は生活様式もさまざまなのでリビングなどでも差し支えないですが、大切なご遺骨を安置する場所なので、粗末にあたらない、部屋の上座が望ましいと思います。
また、ひと月半もの間、広い場所をとって設置することになるので、日常生活の支障にならないことも重要なポイントです。扉や引き出しなど頻繁に開閉するものの近くや人の出入りが多い部屋の入り口は避け、また線香を焚くので風通しが良い場所もおすすめです。
何より重要なのは、そこが「故人を偲ぶ場所」になるということ。皆が手を合わせてお参りしやすい場所を準備し、心配な点がある場合は弊社もしくは、お寺にお尋ねください。
Q. 後飾りを置いてはいけない場所はありますか?
A. 後飾りの前では、毎日ご家族がご供養されるほか、お参りの来客を迎えることもあります。
清潔で、お参りの方が来られても困らない場所を意識していただければと思います。例えばトイレやキッチンなど水回りのそば、玄関など、粗末になるようなところは避けましょう。それから、神棚の前や下にも置かないでください。
また、亡くなった故人を即身成仏(現世の姿のまま仏になること)と考えるため、仏壇の真下に置かない宗派がありますので、念のためお寺にご確認ください。
Q. 後飾りにはどんなお供え物をしたら良いですか?
A. 基本的に仏飯、水やお茶は線香とともに毎日お供えしますが、ほかには特に決まりがありませんので、故人様がお好きだったものやお花をお供えしてあげてください。
果物、菓子、お酒、愛用品などどんなものでも良いと思いますが、大の葬祭がお渡しする祭壇は強度があるとはいえ紙製のため、破損や火事を引き起こさないよう、過度な重量のある物や火を扱うものは念のためご注意ください。
また、特に夏場は匂いがきつい物、日持ちのしない食べ物は管理が難しいので避けた方がよいと思います。
それから、宗派宗旨によっては後飾りにお供えをしないよう指導している場合もありますので、お寺にご相談ください。
Q. 火葬後に納骨まで済ませてしまったのですが、その場合も後飾りは四十九日まで必要でしょうか?
A. 後祭飾りとは、自宅にご遺骨が戻り、納骨まで安置するためのものですので、すでに納骨を済ませている場合は基本的に不要です。普段通り仏壇にお参りをしていただけますが、まだ仏壇がない場合には、やはり後飾りを設置するのが良いと思います。
また、葬儀後もご自宅に弔問客がいらっしゃると思いますので、後飾りに遺影写真や位牌、三具足を飾り、故人を偲びやすいよう、お参りしやすい環境を整えておくと良いでしょう。
それから宗派によっては、四十九日までは故人の魂がこの世で過ごすと考えられており、たとえ納骨を済ませていても後飾りを設けて供養するのが良いとされている場合もあります。
いずれにせよ、大の葬祭では後飾りを返却していただく必要はありませんので、念のため保管し、法事や初盆のときにも飾り棚としてお役立てくだされば幸いです。
Q. 後飾りにお供えする花は造花でも良いですか?
A. 絶対にダメだと言うわけではありませんが、基本的には生花が良いとされています。なぜなら、お花のことを気にかける気持ちは、毎日故人を思う気持ちにも通じるからです。できれば新しいお花を都度飾っていただきたいと思います。
ただし、家を空けがちでお花を枯らしてしまう懸念がある場合、またお庭にお花がなくなかなか買いに行くこともできない場合など、事情がある場合は造花でも良いと思います。
お寺によっては、後飾りにお供えや供花はせず、仏壇のほうに飾るように言われる場合もあるようです。