2017.9.28大好きな家族の写真とメッセージに包まれた旅立ち
お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。
しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。
私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。
「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。
顔は見えなくても心で家族の姿を感じていたお母様
先日担当させていただいたご葬儀の、故人様の娘さんとのお話です。
娘さんのお母様は生前、病気で目を悪くされ、ほとんど視力を失っていました。
目が不自由になってからは、日常生活で不便なことも多く、趣味だったという風景画を描くこともできなくなり、時折ふさぎ込んでしまうこともあったそうです。
そんなお母様にとって、唯一の心のよりどころであり、生きがいとなっていたのが可愛いお孫さんと曾孫さんと過ごす時間でした。
私は娘さんに「目のご病気で、お孫さんや曾孫さんのお顔をみることができなかったのでは?」とお尋ねしたところ、
娘さんは
「目で顔を見ることはできませんでしたが、孫や曾孫と接するときの母の表情は、まるでちゃんと見えているかのようにキラキラ輝いていました。きっと孫や曾孫の顔を見ることはできなくても、声を聞きくことで、どんな顔をしているのか、今どんな表情をしているのかを想像して感じ取っていたんじゃないでしょうか」
とおっしゃっていました。
ご出棺の前に「ありがとう」の想いを込めて
そしてご葬儀を執り行うにあたり、打ち合わせの際、娘さんからこんなご相談をうけました。
「母は目の病気になった当初、大好きな孫や曾孫をはじめ、家族の顔をもう二度と見ることができないと大変悲しみ、悔しがっていました。とても辛かったと思います。だから最後のお別れの時ぐらい、何か母が喜ぶようなことをしてあげたいんです」。
そこで私は
「ご家族の顔写真をお撮りして、写真の裏にお名前とお母様へのメッセージを記入したものを、お棺にお供えしてみてはいかがでしょうか?」
とお伝えし、ご家族一人ひとりに、大好きだったお母様と過ごした時間を振り返りながら、写真に「最期のメッセージ」を綴っていただきました。
そして葬儀当日…。
「おばあちゃん、本当に今までありがとう」
「今まで辛かったよね。天国で目が覚めたら、みんなの顔がみれるね」
と涙を流しながら、お孫さんや曾孫さん、ご家族様が出棺の際にお花と一緒に写真をお棺に収めていらっしゃいました。
お棺の中のお母様は、たくさんのお花とともに最愛の人たちの写真とメッセージに囲まれ、とても穏やかな表情をされているように見えました。
家族の姿を目で見ることはできなかったけれど、天国に行ったら、きっとまた大好きな家族の絵をゆっくりと描かれているのではないでしょうか?
ご葬儀後、娘さんから
「最後の出棺のときに、メッセージを書いた写真を入れるという提案をしてくれて本当に良かった。きっと母も喜んでいると思います。葬儀の時は私も頭の中がいっぱいいっぱいだったから、素敵な提案をしてくださって本当にありがとう」とのお言葉を頂きました。
ご葬儀は準備から当日まで、時間的にも精神的にも余裕がなく、ご遺族様は心身ともにとてもお疲れになるものです。
だからこそ、私どもから少しでも故人様らしさやご家族の想いが伝わる提案をさせていただくことで、葬儀がご家族にとってかけがいのない大切な思い出となれたら幸いです。