2021.7.08『お別れの言葉』。それは、故人と向き合う『対話の時間』。
目次
- 1 「お別れの言葉」についてよくあるご質問
「お別れの言葉」についてよくあるご質問
『お別れの言葉』にはどんな意味がありますか?
A. 葬儀において、故人の冥福を祈り読んでいただく「お別れの言葉」は、まだ亡くなった方のお身体があるうちに「ありがとう」という感謝を伝えるための言葉です。
お別れの言葉を読まれる方は、事前に何を話すのか考えることになりますが、それは、亡くなった方との対話です。そういう意味では、故人としっかり向き合える「最後の対話の時間」とも言えます。
また対話をすることで、お言葉を話されるご本人も、残された皆さまも、悲しみにひとつの区切りをつけ、故人の旅立ちを受け入れられるのかもしれません。別れを惜しみつつ、これまでの想いや感謝を込められた「お別れの言葉」は、ご会葬の方々にとっても、故人のお人柄や思い出に触れられる貴重な機会になります。
『お別れの言葉』ではどんなことを伝えたら良いですか?
A. これまでにしてもらって嬉しかったことや一番の思い出、心に残っているエピソード、大事にしてもらったことへの感謝の気持ちなどを伝えられる方が多いです。
中には、「お疲れさまでした」という労いの言葉や、言えなかった「ごめんなさい」のひとことをお伝えになる方もいらっしゃいます。
自分の思いを素直に、ありのままにお伝えください。そして故人の旅立ちを、心安らかにお見送りしてあげてください。
使ってはいけない言葉・エピソードはありますか?
A. 日本には古来から「言霊」という考え方があり、言葉に出したことには不思議な力が宿っていると考えられてきました。そのため、ご葬儀では不幸ごとが繰り返されることのないよう、「忌み言葉」を避ける習慣があります。
宗派・宗旨によるマナーもあります。
例)
【縁起が悪いとされる言葉】
重ね言葉や繰り返しを意味する言葉 → ますます、たびたび、再び、続いて、返す返す、再三、さらに など
【浄土真宗で言い換えたい言葉】
天国、草葉の陰 → お浄土、極楽浄土
ご冥福を祈る → 哀悼の意を表す
永眠 → 往生
告別式 → 葬儀
安らかにお眠り下さい → お浄土から私達をお導き下さい
さようなら → お浄土でまた、お会いしましょう など
ここに挙げたのは一部の例ですが、まずは意識しすぎずに素直な自分の気持ちを書き出してみてください。そして分からない点、気になる事があればスタッフにいつでもお声がけください。
また、エピソードについては、故人を否定するような内容、故人が嫌いだった言葉や暴言、自虐的な話を使わず、尊厳を守ることが第一です。
笑いを誘うジョークなどを織り交ぜでも大丈夫ですか?
A. 哀悼の意を表わすことを大前提に、ご参列の方々が故人のお人柄を感じられる内容であれば、差し支えありません。そのほうが、故人も笑顔で喜ばれる場合もあると思います。
過度にふざけており、ご参列の方が不快に思われるような内容を避けていただければ、ジョークを織り交ぜたエピソードもお話されて大丈夫です。時と場合を考慮し、判断が難しい場合にはご家族・ご親族の方と相談されると良いと思います。
『お別れの言葉』を読む人はどうやって決めたらよいですか?
A. 一般的には、お通夜の夜、お子さまやお孫さまなどの血縁者の中から適任者を選んでいたただいています。
ただしルールはないため、ご友人、会社の役員・同僚の方でも良いですし、すでにお手紙を用意されている方や思い出をお話になりたい方など、自由に決めていただいて大丈夫です。読みたい方、故人のことを特別大切に思っていらっしゃる方にお願いされると良いと思います。
また「お別れの言葉」は義務ではないので、立候補者がいなければ、必ず誰かを選ばなくてはならないということもありません。
孫が10人以上いるのですが、『お別れの言葉』を読む人は何人までか決まっていますか?また、全員で読むことはできますか?
A. 人数制限はなく、何名でも構いません。たくさんのお孫さまからの「お別れの言葉」は、故人も大変喜ばれると思います。
しかし時間に限りがあり、おおよそ3分程度が目安です。10名以上の大人数ですので、式場の広さによっては並び方に工夫が必要です。
祭壇が見える状態で並んでいただけるよう、開式前にあらかじめスタッフが立ち位置をご案内をさせていただきます。
- 簡潔にまとめたお話や短い言葉をそれぞれが述べる
- 一つの手紙を順番に読んでいく
- 皆で前に並び、代表の方1名様が読む
などの工夫をされると良いかと思います。
なお、伝えきれなかった事に関しては、お花入れの際、お棺の中にお手紙を入れることもできます。寄せ書きをご用意されるのも一つの方法です。
遠方にいる孫からのビデオレターを流すことはできますか?
A. 「ビデオレターを流したい」というご要望があれば、そのお気持ちを尊重し、「お別れの言葉」としてお預かりする事も可能です。
式場にプロジェクターを準備しておりますので、あらかじめ喪家様でデータをご用意ください。動画の形式によっては対応に時間がかかることがあるかもしれませんので、できればお通夜の夜を目処に、なるべく早めにデータをご用意いただけるとスムーズです。
また、リモートで参列できる場合は、式中に「お別れの言葉」を直接伝えていただくこともできます。会えない分の想いが、きっと故人に伝わると思います。
厳かな式の雰囲気を保つため、式の前後に流すという選択肢もありますので、まずは、スタッフにご相談のうえ、お打ち合わせをさせてください。
『お別れの言葉』は必ず読まなければなりませんか?
A. 「お別れの言葉」は強制ではありませんので、省略されても大丈夫です。
人前に出るのは緊張するものですし、予定していても、いざとなると涙が溢れて言葉が出ない方もいらっしゃいます。それでも構いませんし、故人との向き合い方は人それぞれですので、必ずしも【お別れの言葉を読む】という手段でなくても良いのです。
お手紙や手作りした物を棺に入れるなど、ほかにもお気持ちを伝える方法はあります。
それぞれの方法で、故人にお別れと感謝をお伝えいただければと思います。どのような形でも、故人にお気持ちは伝わります。後悔しないお別れができるよう、お手伝いをさせていただきます。
『お別れの言葉』の代わりになるセレモニーはありますか?
A. 「お別れの言葉」ではなくても、故人を偲び、想いをカタチにされたいというご希望がありましたら、精一杯それを叶えるお手伝いをさせていただきたいと思っています。式中にご披露される場合は、宗教者さまにもご相談させていただきたいので、早めに教えて頂けますと幸いです。
実際に喪家様からのご依頼があり、式中に実現したことのあるお別れの形です。
- バイオリンやピアノなど楽器の生演奏
- 故人がお好きだった歌を歌う
- メッセージの寄せ書き
- 司会の代読によるお別れの言葉
- 神楽やダンスのパフォーマンス
- 弔吟(詩吟)の披露 など
なお、大の葬祭のサービスに【思い出アルバム】というものもあり、お薦めしております。これは、あらかじめ故人について取材をさせていただき、3~5分程度の短い動画を作成するものです。1~30枚程度のお写真を映像で流し、プロのライターが作成した言葉を添えます。
人前で気持ちを表現するのが恥ずかしい方にも、気兼ねなくお気持ちを伝えていただけます。
よくある質問は、大の葬祭スタッフがご遺族からよく聞かれるご質問を掲載しています。
質問内容と回答は、適宜更新されます。
また、大の葬祭では、LINE公式アカウントにてスタッフによるチャット相談を実施しています。
終活/お葬式/ご供養のご相談などお気軽にお問合せください。チャットは下記のバナーリンクから友だち追加で行うことができます。
『お別れの言葉』エピソード
エピソード① 「お別れの言葉」を担った10人のお孫さまたち
まず1つ目のエピソードは、【家族葬】をされたご遺族のお話。
故人には、お孫さまが10人いらっしゃいました。お打合せのなかで、「せっかくだから、お別れの言葉は孫たちにお願いしよう」と喪主の一声で、お孫さまたちの「お別れの言葉」が決定しました。
お孫さまの年齢は、下は2歳から上は中学生まで。「するする!」という子、「やだ、恥ずかしい」と頑なな子、まさにみんなの意見は十人十色でした。そんな賑やかな話し合いの末、最初の一人がお別れの言葉を伝え、最後にみんなで「ありがとう」と声を合わせて言おう、ということになりました。
そしてご葬儀の日。
ご葬儀も終盤に差し掛かったところで、お孫さま一同の「お別れの言葉」の時がやってきました。
昨晩から何度も息を合わせて「ありがとう」のタイミングを練習したそうで、式の最中も「自分たちの役割をしっかり全うするぞ!」という緊張感がそれぞれから伝わり、なんだか表情がしまって見えました。
正直、大人たちは「うまくいくのだろうか?」と一抹の不安はあった様子…。
司会より、お一人ずつお名前が呼び上げられ、前へ進みます。
そして、ついに代表のお孫さまがお言葉を述べられる番がやってきました。緊張したおももちながらも、丁寧に、しっかりとお別れの言葉を述べられると、その目には涙がいっぱい溢れていました。
すると、一列に並んだお孫さまたちもそれに共鳴するかのように、次々に涙ながらにお別れの言葉を伝え始めました。その様子にまわりの大人たちも涙の場面も…。
それは、葬儀スタッフの私にとっても、とても印象的なワンシーンでした。故人が生前、10人のお孫さまを平等に優しく接していたことが、こちらにも伝わる「お別れの言葉」でした。
エピソード② さよならの手紙は、そっとお棺の中へ
2つ目は【一般葬】での出来事。
そこにはお孫さまが5名ほどいらっしゃいました。そのお孫さまの一人が、ご葬儀が始まる前からずっと手に手紙を持たれているのをお見かけしたので、私は「ご葬儀の際に読まれませんか?」と、お声をかけてみたのです。
しかし、そのお孫さまはお手紙を携えていたのが自分1人だったせいもあり、恥ずかしそうに無言で首を横に振られました。それから、お花入れの際、お母さまに誘導されながら、お棺にお手紙を入れられておりました。
きっとだれにも教えたくない、大好きだったおばあさまにだけ伝えたい想いがそのお手紙には込められているのだと感じた「お別れの言葉」でした。
まとめ: 想いを受け止めてカタチにすること、促すこと
「お別れの言葉」はご葬儀のなかでも故人とその方との生前のエピソードを、参列していただいたみなさまに知っていただく大切な機会です。そして、その想いの表現方法はさまざまです。
大切なのは、気持ちを伝えること。きっとその気持ちは、相手に伝わります。
お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はありません。
私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じ、つなぐことを使命としています。
「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想いのストーリーをご紹介いたします。
[このエピソードは私が担当しました]
葬祭ディレクター 比永 妃星