2018.6.05事前相談から学ぶ、気持ちを汲みとること
「わかります」という替わりに「汲みとる」チカラをつける
私は事前相談や打ち合わせ、ご葬儀の際に気をつけていることがあります。
それは「わかります」という言葉を使わないことです。
私たちの仕事は、故人様のお見送りをすることが本業ではありますが、その本業をしっかりまっとうするために、もっとも大切にしていることがあります。「想いを汲みとる」ことです。
私は事前見学や打ち合わせの際、ご遺族との会話の中から故人様の生きてきた証や残像を見つけ出し、故人様に合ったご葬儀をし、最高のお別れをしていただくことを大切にしています。
「想いを汲みとる」ことは、言葉ほど簡単ではありません。
例えば故人様を無くした悲しみと向き合うことが難しいとき、その人についてどうしても話すことができない場合に直面することも多々あります。
それでも故人様をきちんとお見送りしたい一心で、気持ちを振り絞ってお話をしてくださいます。
そんな時悲しみに寄り添いたい気持ちが早まって、つい「わかります」と、同調の意味も込めて口からつい出そうになります。
しかしその想いの本当のところは、ご本人にしか分からないのです。大切な方を亡くされたお気持ちはご本人にしかわからないし、胸の内や想いがたくさん詰まっていると思うのです。
心の機微を察して、気持ちに寄り添う
ある日、50代の男性が2度事前相談にいらっしゃいました。
1度目に来られたときは、ご自身の名前も、ご容態の悪いお母さまのお名前も言うことはせず、「現実が受け止められない」とおっしゃられ、「何をしてあげられるのかを毎日考えている」と声を詰まらせていました。
そのあとゆっくり1時間ほどお話をしてくださり、その日はお帰りになりました。私といえば、ただ聞くことしかできませんでした。
それから1カ月近く経ったある日、今度は弟さまと一緒にいらしてくださいました。「具体的なお話を決めていきたい」とのことでした。
1度目に来られた日の、あの辛そうな時からしてみると、ずいぶん落ち着かれた様子でした。
ゆっくりとお話をし、会館を見学されました。今回は具体的なご葬儀の内容のお話もできました。
そんなお姿を見て感じたことは、ご心配もご不安も、日々変化するのだということ。だからこそ相手と向き合い、また自分と向き合いながら、本当に自分に合った道筋を見つけていくのだと。
見ず知らずの私たちに、時に涙を浮かべお話しくださるお客さまもいらっしゃいます。私はまだ未熟ですが、どんな状況でも寄り添う気持ちを忘れず、心から対応させていただきたいと強く思っています。
大の葬祭では、事前相談や終活にまつわることなど、常時お受けしております。
ぜひお気軽にご連絡ください。
お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。
しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。
私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。
「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。