2021.7.22「初七日」から「四十九日」まで。葬儀後の法要(法事)について
目次
法要(法事)は何のために行うのか?
子どもの頃、嘘をつくと「閻魔さまに舌を抜かれて地獄に行かされる」と叱られた記憶はないでしょうか? 仏教では、人は亡くなると現世に別れを告げ、〈中陰(ちゅういん)〉と呼ばれる世界を旅するとされています。
中陰とは、来世の行き先を決めるための裁判が行われる世界。49日間続くその旅路を〈冥土(めいど)の旅〉と言い、死者は7日ごとに冥土の王朝の王さまたちから生前に犯した罪を裁かれることになっています。
そして、中陰での裁判の日、現世では故人に近しい人々が集まり法事を行います。亡くなった人が無事に極楽浄土へたどりつき幸せになれるよう仏さまに祈りを捧げ、ご縁を結ぶのです。その最初の日が、「初七日」の法要です。
「初七日」は冥土の旅の始まりの日。「四十九日」までの旅路
初七日の法要は、故人が亡くなった日から数えて7日目に行うしきたりです。その後、「四十九日(七七日)」まで7回の法要を行いますが、これを中陰供養、または御逮夜(おたいや・おたんや)と呼んでいます。
ちなみに、故人が閻魔さまの裁きを受けるのは、五七日のとき。このように、冥土の故人は毎回別の王さまに会い、そして現世では、王さまの化身とされている仏さまに祈りを捧げるのです。
初七日(しょなのか)
最初の7日間、故人はとても険しい山を歩きます。その間、香を食べて進むとされるので、そのために現世ではお線香を焚きます。行き着く先にいるのが、最初の裁判官〈秦広王〉。
現世の私たちは、恐ろしい顔つきで人間の煩悩などを戒めてくれる〈不動明王〉に良い裁きがくだるようお祈りします。
二七日(ふたなのか)
山を越えるとすぐに、三途の川があり、罪の軽い人は橋の上を、それ以外の人は罪の重さに従って浅瀬か濁流かを渡ることになります。その渡し賃が六文かかるので、棺の中に六文銭を入れます。
川を渡りきると〈初江王〉に殺生行為の有無を裁かれるのですが、現世では、どんな人の願いも聞き入れてくれる〈釈迦如来〉に救いを求めます。
三七日(みなのか)
3度目の裁きは、〈宋帝王〉が猫とヘビを使って不貞行為の罪を問うもの。現世の人が祈りを捧げる仏さまは〈文殊菩薩〉です。
「三人寄れば文殊の知恵」で知られる文殊菩薩は、極楽浄土へ行ける知恵を授けてくださいます。
四七日(よなのか)
続いて会うのは〈伍官王〉。ここでは、生前どれだけ悪い言動をしたか、その重さをはかる秤(はかり)があり、故人はそこに乗せられます。
白い象に乗った〈普賢菩薩〉は慈悲に満ちており、多くの功徳で悟りの世界へ導いてくださいます。
五七日(いつなのか)
この日に待っているのが、有名な〈閻魔王〉。彼は水晶からできた鏡を使って故人の生前の悪行を映し出し、嘘をつく人の舌を鬼に抜かせてしまいます。
そして閻魔王は、故人が生まれ変わる先を決定します。現世の私たちは〈地蔵菩薩〉に祈りを捧げるのですが、私たちに最も身近なお地蔵さまは、地獄の苦しみを救ってくれる仏さまです。
六七日(むなのか)
6回目の裁判では、秤を使った伍官王と、鏡を使った閻魔王の報告に基づき、〈変成王〉によって審判がくだされます。生まれ変わるための条件、場所も詳しく決められていきます。
〈弥勒菩薩〉はお釈迦さまの後継者とされ、遠い未来に私たちを救済してくれる仏さま。自分自身だけではなく、他人の悟りを手助けする術も教えてくれます。
七七日(しちなのか)=四十九日
亡くなってから四十九日目にあたるこの日は、とても大切な法要の日。
これまでの裁判の結果をもとに、〈泰山王〉が最終決定を言い渡す日で、その決定によって故人は中陰の世界を去り、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道のいずれかに生まれ変わるため旅立ちます。現世では最良の決定がなされるよう〈薬師如来〉へ祈りを捧げます。
故人への思いを大切にし、法要の日取りを決定してください
このように、法事の意味を深く知ると、毎回の法要が同じくらい大切なものであることが分かります。法事は、故人を偲びその幸せを願うだけではなく、現世の人々にも学びを与えてくれます。
ただし近年は、生活様式や習慣の変化に伴って、中陰の最初と最後にあたる「初七日」と「四十九日」を特に大事な日とし、「二七日」から「六七日」は「初七日」と一緒に済ませてしまったり、簡素に済ませることも多くなりました。また、多くの親族がお別れに集まった葬儀の日に、「初七日」の法要を執り行う例も増えています。
葬儀の当日に繰り上げて初七日を行う場合、次のような流れで行います。
葬儀 → 出棺 → 火葬 → 初七日法要 → 精進あげ(精進おとし・おとき)
このように、葬儀当日に初七日の法要を行った場合にも、実際の死後7日目には故人の冥福をお祈りし、可能であればお仏壇でお線香をあげていただきたいと思います。
本来はすべての法要をきちんと執り行うことが望ましいのですが、「故人を偲ぶ心」を忘れずにいれば、簡略化することも決して悪いことではありません。それぞれのご家庭の事情に合わせ、またお寺さまとよく相談し、日取りを決定すると良いでしょう。
正式な初七日には、故人の家族・親戚が集まり、自宅にお寺さまをお招きしてお経をあげてもらいます。通夜・葬儀の時と同じように焼香もします。このとき、ご自宅には遺骨、位牌、遺影を飾った祭壇「後飾り」が設置されていると思いますので、その前で法要を行います。お花や供物も備えます。
また、自宅ではなくお寺で行う場合もあります。その際は、遺骨、位牌、遺影を持っていく必要があります。
服装は、葬儀のときと同じフォーマルな式服か、黒を基調としたものであれば簡略化しても大丈夫です。
神式・キリスト教式にも法要はある?
神式の葬儀の後には、亡くなって50日目まで10日ごとに仏式の法要にあたる「霊祭」という儀式を行います。
またキリスト教では、残された者が故人の死を受け入れ、悲しみに区切りをつけるために教会で追悼ミサを行います。
「初七日」からの法要についてよくあるご質問
Q. どうしても葬儀に参列できなかった場合、その後、いつ頃までならご自宅に弔問に伺うのが失礼ないでしょうか?
A. 亡くなったことを葬儀後に知ったり、どうしても参列が叶わなかったり。そんな時には、できるだけ早めにご自宅へお参りするのが一般的です。
可能であれば初七日のうちに、遅くとも「四十九日」までが良いと言われています。直接訪問されれば故人やご遺族様に喜んでいただけると思いますが、伺う前に一度、先方にご連絡してから訪問するのがマナーです。
Q. 「初七日」法要を親族の都合で葬儀の日に併せて行った場合、故人の供養を怠ったことにならないか心配です。本当に良いのでしょうか?
A. 年々、葬儀の直後に続けて「初七日」の法要を行うことが多くなりました。ご家族・ご親族様が遠方のため、都度集まることが難しいなど、いろいろな事情があると思います。
ご都合によって、葬儀の日に「初七日」を済ませる方法は、当然お寺をはじめとする宗教者さまのご指導のもと行っているものですので、「供養を怠った」ということはありません。故人を偲び、供養をしていることに変わりはありませんので、どうぞご安心ください。
故人も、多くの方が集まってくれている時の方が喜んでいただけると思います。なお、法要のタイミングについては、まずは菩提寺とご相談いただきますのでご留意ください。
Q.「 初七日」から七日ごとの法要に、菩提寺へ支払うお布施の相場が知りたいです。
A. お布施の金額は、菩提寺、地域、家庭の事情でまったく変わってきます。ご親戚、同じ菩提寺の檀家さまに尋ねるという方法もありますが、そもそもお寺に金額を尋ねることは失礼にはあたりませんので、率直にご相談いただくのがいちばん良いかと思います。
Q. 初七日に始まる七日ごとの法要を簡略化することはできますか?
A. まずはお寺に相談をされてください。
喪主様やご家族様が遠方にお住まいで1週間おきに法要を執り行うのが難しい方、仕事を休めない方など様々な事情があると思います。そんな中、御逮夜の中でも特に大事な「初七日」と「四十九日」のみ行い、その間は簡略化するケースや、「三十五日」でひと区切りするケースも増えているようです。
コロナ禍の中にある現在、宗教者さまとご遺族・ご親族さま双方のお考えがあると思います。ぜひ「故人を思う気持ち」を大切にしながら、最善の方法を話し合ってみてください。
Q. 御逮夜の法要が自宅で行えない場合はどうしたら良いですか?
A. まずはお寺に相談をされてください。
ご自宅で法事を行えない場合、お寺で執り行うのが一般的ですが、大の葬祭にも葬儀後の各種法事に対応できるようご相談を承っております。特におおいた本館では、「法事ホール」で四十九日法要ができるよう体制を整えておりますので、お困りの際はお問い合わせください。
大の葬祭 相談窓口 0974‐22-2801