2019.9.11お別れをする女性のために、女性職員としてできること
目次
本当に伝えたいことは、紙にしたためる
お通夜が終わった後、注意していただくことや持ってくるものリストなどを紙に書いてお渡しするようにしています。
そのなかでもとくにお伝えしたいことは、
- お料理関係の食器を洗わなくていい事
- 次の日8時半前後に布団の回収が来る事
- 打ち合わせの際、ごみ回収に入らせていただく事
などを紙に書いてお渡ししております。
「女性は台所」は、普通じゃなかった⁈
お通夜のあと、ご遺族様やご親族様は、故人様を偲びながら和やかに過ごされると思います。そのさいに私はいつも気になっていることがあります。
それはこの仕事に就く前から感じていたことなのですが、親族で集まりごとがあると、九州では、女性が台所にずっと立っていることは比較的、当たり前とされていること。
実はそれを指摘されるまで、私自身もなんとも思わずに育ってきました。
あるとき、関東出身でこちらに嫁いできた友人から
「親戚の集まりとかお正月のとき、九州の女性ってずっと台所に立ってて大変だよね」
と言われ、はじめて地域によって異なることを知ったのです。
地域性だけで済ましたくない気持ちが募った、お通夜後の過ごし方
友人から言われたことがなんだか気になったので【九州 親戚 集まり 女性】で検索をかけてみました。すると友人が言っていたようなことが何件もヒットしたのです…。
そう言われれば、通夜・葬儀だけでなく、盆や正月など親戚で集まる際、一番動きまわっているのは女性だとあらためて感じます。ずっと台所にいることだって珍しいことではありません。
これは地域性であったり風習であったりするものなので、いまさらそれを追及することでもないと思いますし、女性たちがそれを受け入れて彼女たちなりに楽しめているのであれば問題はないと思っています。
ただ、そういったシーンを異なるシチュエーションで見たときは、
なんだか釈然としない気持ちが芽生えてきました。
そのシチュエーションというのが、まさに【お通夜後】のことです。
一番お別れをしてほしい人が一番ゆっくりできないなんて
お通夜の夜、親戚一同が集まりビールを酌み交わすなかで、私がよく見かける光景は女性がビールを出したりオードブルを運んでいたり、お皿の片づけをしている姿でした。
身のまわりのことで動きまわっているのは、不幸ごとでも関係なくやっぱり女性です。
実際にご主人を亡くされた喪主である奥様が、バタバタと動きまわっているのを見た時には、
「一番悲しんでいる人が、一番忙しいなんて…」という気持ちにもなりました。
同じ女性として、同じ視点からできることを実践してみる
お布団も大人数で宿泊された時は、畳むだけでも大変な重労働です。
女性の皆さんのご負担にならないように私は
「お皿は洗わなくて結構です。お布団は端に寄せておいてください、8時半前後に回収に参りますので。それまでゆっくりと過ごされてください」
と、紙にしたためます。
このお手紙作戦、何度か実施しておりますが、いずれの回もお食事後の後片付けのご負担もなく、お布団のことも気にされず、寝過ごされることなく、時間に余裕を持ってゆったりと過ごしていただけております。
少しでもご遺族様のご負担を減らせるように、同じ女性としてできることを葬祭業の視点を踏まえて考えることで、これからも持続的にお力添えができればと思っております。
お葬式は一見、どれも同じように見えてしまうかもしれません。
しかし、100人いれば100通りの「想い」があり、決してどれ一つ同じお葬式はないのです。
私たち大の葬祭スタッフは、ご家族の大切な「想い」をしっかり感じとり、つなぐことを使命としています。
「想いを大切にする。エピソード」では、お葬式のワンシーンから生まれた、大切な想い出のストーリーをご紹介させていただきます。
今回は葬祭業に携わるものとして、そして女性職員として、自分なりの工夫をして、ご遺族さまのお気持ちに寄り添った取り組みをご紹介したいと思います。